五臓(肝、心、脾、肺、腎)にはそれぞれにくみ嫌うものがある*、と考えられています。
脾は湿(しつ)を嫌います。
東洋医学(中医学)でいう脾は、西洋医学でいうそれとは異なり、「脾は飲食物を消化・吸収し、水穀の精微(栄養物質)に変化させて、全身に送るところ。栄養物質は心や肺などの上部へも送られ、心肺で気と血にかわります。また、脾は血が脈外にあふれ出るのを防ぐところ」と考えられています。
湿は重く濁っていて粘っこく、気の活動を阻害するもので、脾の消化と輸送を邪魔するのです。
梅雨など湿度の高い時期は、湿邪が体に侵入する原因となります。
外界から湿が体に侵入すると、体が重い、腰や手足がだるい、関節や筋肉に固定した痛み、などの症状がみられます。
また、外界からの湿によって脾のはたらきが低下すると、体内の水や湿のめぐりが悪くなり排泄ができないことから、食欲不振、お腹が張る、足のむくみなどの症状もみられます。
「薬三分、養生七分」です。
漢方薬で脾のはたらきを整えつつ、水や湿のめぐりをよくして、これらの症状を改善する方法もあります。
*出典「素問」