肝と脾は非常に密接な関係です。
東洋医学(中医学)でいう肝は、西洋医学でいうそれとは異なり、「肝は血液を貯蔵し血流量を調節しているところ。また、全身の気の流れを調節し、食物の消化と吸収や、精神活動に関係するところ」と考えられています。
脾は、「飲食物を消化・吸収し、水穀の精微(栄養物質)に変化させて、全身に送るところ。そして栄養物質は心や肺などの上部へも送られ、心肺で気と血にかわります。また、脾は血が脈外にあふれ出るのを防ぐところ」と考えられています。
肝による全身の気の流れの調節が失われ、気のめぐりが停滞すると、脾の飲食物を消化・吸収し栄養物質を全身に送る機能も低下します。この場合、よくため息をつく、気分の落ち込み、イライラする、食欲がない、げっぷ、お腹がはるなどの症状があらわれます。
脾のはたらきが低下して、気や血が十分に作られなかったり血が脈管外にあふれ出たりすると、肝で貯蔵している血は不足します。この場合、めまい、身体や手足のしびれ、痙攣(けいれん)、目のかすみ、月経不順、出血などの症状があらわれます。
肝の病が脾に伝わり、また、脾の病が肝に伝わることもあり、両者はお互いに影響しあっているのです。